- Story -
何を望み
何を求め
何を手に入れたのだろう?
ただ、幸せだけを願っていた。
それは自分の為?
それとも大切な人の為?
答えはまるで、舞い落ちる初雪を掌にすくったときの様に
その形を留める事無く消えていく…。
高校一年目の冬。
オレは目の前で大切な人を失った。
暗い部屋の中
オレはなにをするでもなくそこにいた。
目と閉じると、大切な人がまだそこで微笑んでいる様な気がする。
さっきのことも、悪い夢だったのではないかと思う。
不意にドアが開いて、誰かが部屋に入ってきた。
そこに居たのは妹だった。
ひとりでいたかった。
もう何も考えたくなかった。
そんなオレに彼女は言う。
「おにいちゃんの気持ちが和らぐなら…」
血の繋がりのない彼女。
その彼女が優しくオレを包み込んでいた。
そんな彼女の想いも、オレには苦痛でしかなかった。
全てが滅茶苦茶になればいいと思った…。
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